店舗に入居する際の初期費用一覧

店舗物件への入居時には、様々な項目で初期費用が発生してしまいます。例を挙げると、

  • 内装工事費
  • 保証金(敷金)
  • 前家賃(共益費や管理費を含む)
  • 礼金
  • 火災保険料
  • 仲介手数料
  • 広告料(看板掲載料など)
  • などです。
    ※物件によって必要になる費用は異なります

内装工事費

通常、新規出店をする際はスケルトン(コンクリート打ちっ放しの何もない状態)物件へ入居をします。
その場合は店内の内装や厨房機器などを自分で揃える費用が発生します。
総額は物件や業種によりけりですが、例えばロードサイドのファミレスの内装工事費は1億円が相場と言われます。
事業規模の小さな飲食店でも凝った内装工事をすると相応に内装工事費がかかってくるため、一般的には
内装工事費が初期費用の中で最も金額が大きくなります。
逆に居抜き(前テナントの内装などをそのまま使用する)物件へ入居する場合であればそのコストをかなり削減できます。

凝った内装にしてしまうと余計にランニングコストがかかってしまうなどのデメリットもあるので、どちらが向いているかはしっかりと検討しましょう。

保証金(敷金)

マンションやアパートなどの賃貸物件も同様ですが、賃貸契約の締結時には多くの場合は保証金(敷金)を支払う必要があります。
店舗用の物件へ入居する際も同様ですが居住用とはかなり相場が異なり、通常は賃料の6~10ヶ月分などを保証金として貸主へ預け入れます。

特に何も問題がなければ、保証金は退去する際に全額、返ってくるものです。
しかし賃料の支払いが遅延した場合や故意に店舗状態を悪くしてしまった場合などはその分の金額が保証金から引かれます。
また敷引き(返還時に償却されてしまう保証金・敷金)が設定されていたり、スケルトンに戻しても必要なクリーニングなどで、実際には全額が返ってくることは
ほとんどありません。

また、契約期間中にの退去をする場合には、違約金として保証金の全額が没収されることもあります。

前家賃(共益費や管理費を含む)

店舗へ入居する際は前家賃(入居月と次月の賃料の合計)を支払う必要があります。
月の途中から入居する場合は月額賃料を日割りして、入居日から月末までの賃料を支払う契約が一般的です

ex)賃料200,000万円の物件へ6/18に入居する場合の前家賃
 
  賃料の日割り=200,000÷30=6,666円
  6/18から6/30までは12日間あるので6,666×12=79,992円
  次月の賃料が200,000万円なので、
 
  前賃料=79,992(入居月賃料)+200,000(次月賃料)=279,992円となります。

上記金額を入居する前に支払うことになります。

礼金

礼金は契約締結時に貸主に支払う科目です。法令上は特に指定されておらず、地域によって多少名前は変わりますが、
契約締結時に一度限り支払うお金はほぼ全ての店舗物件でなんらかの形で設定されています。
法律上の立ち位置としては貸主への謝礼や賃貸権に対する権利金の側面があると言われています。

各種保険料

店舗運営にあたりほぼ必須で設定される各種保険ですが、月々の保険料は入居する際に何年カ分まとめて支払うことが通常です。
なお、日頃親しみのある火災保険などは別で、店舗運営事業者向けの「店舗保険」を使用するのが一般的です。
保険料は事業規模や店舗面積・業種など様々な条件で変わってきますが、近年は月々1,000円以下の保険料で加入できる保険も
あり、最安値は下がっている傾向にあります。

ex)1000×3年分=18,000円

仲介手数料

仲介業者を利用して入居する際は成約時に「賃料の1カ月分」の料金を仲介業者に支払うことが通常です。
居抜き物件を探す場合は一般的な仲介業者からではなく、店舗専門の仲介業者から物件情報を得ることが多く、この場合は
成約時に「賃料の1.5~2カ月分」の料金を仲介業者に支払うことが多いです。

ほとんどの場合、仲介業者を利用することになると思うのでこの費用も考慮しておきましょう。

広告料(看板掲載料など)

看板など物件の共有スペースを利用する際は広告料を支払うこともあります。
商業施設などに出店する場合は「販売促進費」として、ディベロッパーの集客の対価としてお金を徴収することも。
これらは月額3万円~5万円などの金額が一般的です。

店舗に入居するには総額でいくら必要?

上記項目が一般的な店舗に入居する際の初期費用項目ですが、
上記以外にも契約前に供託する「手付金」や地主所有の土地の上に建物を建てる際に供託する「建設協力金」などもあります。
最低限、上記項目は考慮しておくべきでしょう。

坪数20坪、賃料200,000円の飲食店を例に取って、新規出店をする場合の初期費用は大体以下のようになります。

 スケルトン物件に入居する場合居抜き物件へ入居する場合
内装工事費50,000,000円5,000,000円(エアコンなど最低限の部分工事)
保証金(敷金)2,000,000(賃料10カ月分)円2,000,000(賃料10カ月分)円
前家賃279,992円(月の中旬から入居)279,992円(月の中旬から入居)
礼金00
火災保険料
18,000円(3年分)18,000円(3年分)
仲介手数料200,000円(賃料の1ヶ月分)300,000円(賃料の1.5ヶ月分)
広告料50,000円(看板掲載料など)50,000円(看板掲載料など)
合計52,547,992円7,647,992円

※消費税抜き

居抜き物件へ入居する場合はスケルトン物件へ入居する場合と比べて、初期費用が10/1になるケースもあります。
しかし造作を自由に決定して出店することはできないので、前テナントの内装をどのようにうまく使うかがカギになってきます。

まとめ

店舗を出店する際の初期費用は内装工事費が大部分を占めることが多いです。
その内装工事費はスケルトン物件と居抜き物件のどちらへ入居するかで大きく変わってきます。

初期費用に糸目をつけず、完全オリジナルの凝った内装の店舗を出店したい場合はスケルトン物件を。
前テナントの内装を有効活用し、初期費用を抑えたい場合には居抜き物件へ入居をすることをオススメします。