飲食店の出店において重視したいのが換気設備。給気設備と排気設備で構成されており、飲食店を出店する際には理解しておきたい事項です。

出店する店舗の業態や規模に合わない換気設備を設置してしまうと、店内を清潔に保てなくなり、従業員の健康も損なう恐れがあります。

当記事では、換気設備の重要性や関連する法律・基準の概要をご紹介します。飲食店の出店を計画されている方は、ぜひご一読ください。

また、換気設備が特に重要となるのが、焼肉店をはじめとする重飲食です。重飲食のポイントについては、以下の記事にて紹介しています。あわせてご覧ください。

重飲食の出店ポイントは?軽飲食との違いも解説

飲食店の換気設備は業態や店舗の規模に合うものが必要

飲食店の換気設備は、調理の際に欠かせない重要な役割を果たしています。例えば、調理で発生した油煙や臭いを換気設備で排気し、新しい空気を給気することで店内を清潔に保ちます。

特に重飲食店舗では、調理に伴って油煙が発生するため、適切な排気が重要です。正しく排気ができていないと店内に煙や臭いが充満し、建物が汚れたり火災のリスクが高まったりします。

そのため、飲食業では業態や店舗の規模に合った換気設備が必要です。

また、新型コロナウイルス感染症の拡大により、換気設備が感染リスクを軽減させる手段として注目されています。

過去には環境省で「大規模感染リスクを低減するための高機能換気設備等の導入支援事業」が実施されました。不特定多数の人が集まる飲食店で密閉空間とならないよう、換気能力の高い設備の導入を支援する取り組みです。

調理の際に適切な排気・給気をするのはもちろん、感染防止対策としても換気設備が大きな役割を果たします。

続いて、換気設備の設置に関する法律や基準を見ていきましょう。

飲食店の換気設備に関する法律・基準は?

飲食店における換気設備に関する法律・基準には、設置基準や定期的な点検・清掃などが規定されています。飲食店には、以下の法律や基準を遵守し、安全で清潔な環境を維持することが求められています。

  • 建築基準法
  • 消防法
  • 地方自治体の条例
  • どのような法律なのか、それぞれ見ていきましょう。

    建築基準法

    建築基準法は、建築物の設計・施工・使用に関する基準を定めています。その中には、建築物の換気設備についての規定も含まれており、適切な設備を導入することが求められます。

    例えば、飲食店においては、換気口や排気口の設置場所や面積、換気回数、換気方式などが建築基準法で定められており、これらの基準を遵守しなくてはなりません。

    違反した場合には、行政からの指導が入ることがあります。さらに悪質な場合は、業務停止や罰則を科せられることもあるでしょう。

    消防法

    消防法では、火災の防止や対策に関する基準を定めています。以前は、延べ面積150平方メートル以上の飲食店に消火器設置の義務がありました。

    しかし、飲食店から発生した大規模火災が背景となって、2019年10月1日に消防法が改正。延べ面積にかかわらず、小規模な飲食店にも消火器具の設置が義務づけられました。半年ごとに消火器具の点検を実施し、結果を1年に1回ずつ消防機関へ報告する必要があります。

    飲食店に必要となる主な消防設備は3つあります。

    消火設備火災の発生に備えて、速やかに消火をおこなえるようにします。店舗の床面積や立地条件、ビルの階数によって設置の基準が異なります。

    設置する設備
    ・消火器具の設置
    ・屋内消火栓設備
    ・スプリンクラー設備
    ・水噴霧・泡・不活性ガス・ハロゲン化物・粉末設備
    ・屋外消火栓設備
    ・動力消防ポンプ設備
    警報設備火災が起きた、もしくは火災が起きそうな場合、消防署や近隣に知らせます。警報設備の設置によって火災の早期発見ができ、被害を最小限に食い止めることが可能です。

    設置する設備
    ・自動火災報知設備の設置
    ・ガス漏れ火災警報設置
    ・漏電火災警報機の設置
    ・消防機関へ通報する火災報知設備
    ・非常警報器具・設備
    避難設備火災や災害の際、速やかに避難するための器具や設備が必要です。避難経路を案内する誘導灯や標識の設置も求められます。

    設置する設備
    ・避難口誘導灯および通路誘導灯
    ・誘導標識
    ・避難器具(2階以上の飲食店で、収容人数が50人以上の場合)

    これらの基準を遵守することで、火災の発生・拡大を防ぎ、お客様や従業員の安全確保が飲食店に求められています。

    地方自治体の条例

    新型コロナウイルス感染症の流行を受けて、地方自治体が独自で定めた条例もあります。例えば、空気清浄機や風向き制御装置の設置、密閉度の高い部屋での換気方法の改善などが定められています。

    感染症予防対策にかかわることが基準となっており、自治体によって内容が異なるので確認してみてください。

    飲食店は、これらの基準にしたがって適切な換気設備を導入し、清潔な環境を維持することが求められています。また、換気設備に関する義務づけの一例として、ホルムアルデヒド対策として換気することも挙げられます。

    飲食店の換気設備に関する法律・基準を解説しました。ここまで読んで「飲食店に必要な換気量はどれくらいになるの?」と思う方もいるのではないでしょうか。次の項目では、換気量の計算方法をお伝えします。

    換気設備の換気量は条件に応じた算出方法がある

    換気設備に関する基準や条件には、換気量や換気回数、排気能力、空調能力などがあります。この中から換気量について見ていきましょう。

    飲食店における必要換気量の計算式は以下のとおりです。

    必要換気量(m3/h)=室の床面積あたり換気量(m3/m2・h)×室面積(m2)

    参考:必要換気量の求め方|三菱電機

    こちらは床面積あたりの必要換気量を計算する方法です。ほかにも1人あたりの占有面積から算出する方法もあります。

    また、厨房はフードの形状などによって換気量が異なります。厨房の換気計算する方法は以下のとおりです。

    換気回数による換気計算風量[m3/h]=厨房面積[m3]×天井高さ[m]×換気回数[回/h]

    厨房の換気回数の目安は40回から50回です。
    排気フードの面風速による換気計算風量[m3/h]=フード幅[m]×フード奥行[m]× 面風速[m/s]×3600

    排気フードの面風速の目安は0.3〜0.4/sです。

    参考:株式会社岸空調

    換気口の場所や配管の設置方法、フィルターの交換頻度などについても基準が設けられており、適切な換気設備の設置が求められます。

    建物の換気が不十分だと、室内に不快な空気や有害物質が蓄積される可能性がある一方、過剰な換気もエネルギーの浪費につながるため、適切な換気量を保つことが重要です。

    換気設備は小まめなメンテナンスが必要

    換気設備をメンテナンスする目的は、設備の運転効率や安全性を維持することです。定期的な点検・清掃によって問題を発見できれば、異常が発生する前に改善できます。

    フィルターの交換を定期的におこなうことで、空気の循環が効率的になり、不要な微粒子や有害物質の除去が可能です。換気設備の適切な運転・制御ができれば、電力消費を最適化し、コスト削減にもつながります。

    また、油汚れなどの蓄積にも注意が必要。程度によっては火災の原因になるからです。

    これらの問題は、定期的に設備をメンテナンスすることで解決できます。メンテナンスの間隔は、設備の使用頻度や環境によって異なるため、状況を見ながら実施しましょう。

    ただし、不適切なメンテナンスをすると不具合や故障が発生する恐れがあります。取扱説明書を確認しながら日常のメンテナンスを実施し、専門的な知識が必要な箇所については無理をせずに業者へ依頼したほうが安心です。

    飲食店出店時に必要な設備コストを抑えるなら居抜き物件の活用もおすすめ

    飲食店を出店するときには、店舗の業態や規模に合った換気設備が必要です。しかし、重飲食に該当する場合などは、設備が高額になるケースがあり、出店に必要なコストも膨らみます。

    飲食店を出店する際のコストを抑えるなら、居抜き物件の活用もおすすめ。居抜き物件とは、前テナントの事業者が内装や設備などをそのままにして退去した物件のことです。

    もともと入居していたテナントと同じ業態や規模で出店するなら換気設備をそのまま使えるので、開業時の設備投資が最小限で済みます。そのうえ、内装工事も最低限になるため、短期間でのオープンも可能です。

    居抜き物件の飲食店を探すには、ぜひ「退去ナビ」をご活用ください。退去ナビは、3,000社以上の会員数を誇る、居抜き物件のマッチングプラットフォームです。

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