店舗を出店する際に重視するのは立地ではないでしょうか。できるだけ人通りがあり、人の集まるエリアに出店したいと多くの経営者が考えます。
しかし、人が多いエリアにこだわっても、思った以上にお客様が来ないことがあります。それは、店舗物件のタイプによって特徴が異なり、自分が出店したい店舗に合っていない場合があるためです。
この記事では、路面店・空中店舗・ロードサイド店舗・テナントの4種類について、メリットやデメリット、出店のポイントなどを解説します。
自社の目的に合う店舗物件の選び方を知ることができるので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
売り上げが上がりやすい路面店
路面店とは、通りに面していて直接入れる店舗のことです。直接入れるため、路面店はすべて1階のみ、もしくは1階を含む階数で構成されます。
駅前の通り沿いや繁華街の中など、人通りの多い道に面していることが多く、人の目につきやすくなっています。
営業方針や営業時間は、フランチャイズ店や系列店などでない限り、経営者自身で決められるため、外部の規則に縛られることはありません。
【路面店のメリット】視認性が高い
路面店の最大のメリットは、視認性に優れ、集客しやすくなることです。通行する歩行者や車のドライバーは、路面店であることに魅力を感じ、最終的に店舗へ足を踏み入れる可能性が高くなります。
また、窓にガラスを多用することで、店内の雰囲気を外へ演出することも可能です。特に飲食店にとっては、店外から繁盛している様子がうかがえるのは好都合でしょう。
【路面店のデメリット】費用が高い
路面店のデメリットは、賃料などのコストが高いことです。
一般的に同じビルの出店でも、1階にある路面店と2階以上の空中店舗では、路面店のほうが賃料が高くなります。金銭的な負担が大きくなるため、すべての事業者に合う店舗形態とは限りません。
空中店舗の特徴は後述していますので、あわせてご覧ください。
【路面店の出店ポイント】路面店はエリアが重要
特に路面店は、地域選びが重要なポイントです。学生が多い地域や商店街に高級店を出しても、成功する可能性は極めて低くなります。
出店する店舗と、その地域に住んでいる人々や通行人の客層が合っているか、綿密な調査をしなければなりません。
業種によってはメリットになる空中店舗
空中店舗とは、ビルなどの2階以上で営業する店舗を指します。
上層階ほど人目につきづらくなりますが、窓からの眺望が良く、地上の音が届きにくいところが特徴です。
【空中店舗のメリット】出費を抑えられコストの削減ができる
路面店舗に比べて賃料設定が低いので、コスト削減につながります。その分でサービスや品ぞろえを充実させることができれば、利益率の向上が期待できるでしょう。
路面店ほど競争率が高くないため、理想の物件に出会う可能性が高くなります。
【空中店舗のデメリット】人々の視界に入りづらい
空中店鋪は視認性が低いため、お客様に店舗があることを気づかれにくい場合があります。そのため、人目を引く看板を設置し、認識しやすくすることが重要です。
建物によっては看板の設置費用が発生し、月々の支払いが必要になる場合もあります。
お客様のなかには、階段やエレベーターを使わないと店内に入れないため、心理的なハードルが上がる方もいるようです。
新規店などで知名度がないと、どのような店かわからないため、お客様が入りづらくなります。
【空中店舗の出店ポイント】業種によってはデメリットがメリットになる
露出が少なく、目につきにくいデメリットは、実は特定の業種にとってメリットになる可能性があります。
例えば、美容医療などコンプレックス関係の病院やクリニックなどは、入店時に通行人から気づかれたくありません。空中店舗に出店することで、入店のハードルを下げる効果が期待できるでしょう。
また、漫画喫茶やカラオケ、学習塾などは、デメリットに左右されない店舗です。あえて空中店舗を選択することで、コストを抑えた経営ができます。
高層ビルの高層階は景観が良く、地上の音も遮断するので、高級飲食店の出店にもおすすめです。
車を利用して来店するロードサイド店舗
ロードサイド店舗とは、幹線道路など通行量の多い道路沿いに出店し、主に車やオートバイで来店する店舗を指します。
特に、郊外にある主要幹線道路沿い多く、チェーン店のレストランやディスカウントストアなど、全国展開している店舗が連なることで集客力を高めています。
飲食店だとアルコールの提供を主とした店舗にできないため、ファミリー層や運送業のお客様をターゲットにした店舗が多いのも特徴です。
【ロードサイド店舗のメリット】坪単価が低く利益率を多く設定できる
面積あたりのコストが低く、広い店内スペースを確保できるため、大きな利益を生むことができます。
隣接する道路からの視認性が高く、駐車場も多いので入店に便利です。
【ロードサイド店舗のデメリット】賃料以外の経費がかかる
駐車場があるところが多く、駐車場の入り口に警備員を配置する費用、定期的に巡回・警備する費用など、セキュリティ対策や継続的な維持費がかかります。
また、車がないお客様にとっては足が遠のくため、客層が限定されてしまいます。
【ロードサイド店舗の出店ポイント】店舗と接している道路との関係が重要
店舗に隣接している道路の交通量や利用する目的が大きなポイントです。
例えば、主に運送業者に使われているのか、休日に家族のレジャーで使われているのかなどをチェックし、店舗のターゲットと道路の利用者層を合わせます。
商業施設などに左右されるテナント
テナントは商業施設などに出店する店舗を指します。店舗経営者の努力よりも施設自体や施設の経営で集客が決まるのが大きな特徴です。
【テナントのメリット】商業施設の力を借りて集客できる
商業施設のテナントを利用することで、施設を訪れた人に見つけてもらいやすくなります。自社独自の企画のほか、商業施設内のイベントやキャンペーンなどでも集客が見込めるでしょう。
多くのお客様が来店するので、売り上げアップが期待できます。
また、郊外のショッピングモールなどは大規模な駐車場がありますが、商業施設が管理するため、駐車場の維持費用が節約できます。
【テナントのデメリット】自由度が少なくなる
テナントのデメリットは、自由度が少なくなることです。商業施設が決めた営業時間に従わなければなりません。営業時間のほかに、客層も商業施設によって左右される可能性があります。
賃料は固定ではなく、売上高に応じた金額を支払う場合があります。売り上げの何割かを賃料として支払うため、それに応じた手数料などが高くなることもあるでしょう。
炎上や顧客からのクレームなど、重大な事態が発生した場合は、統括本部への報告が必要です。場合によっては、テナント契約が取り消されることもあります。
【テナントの出店ポイント】新たに大型商業施設ができる可能性のある地域は避ける
出店を希望するオフィスビルや商業施設の周りで、新たに大きな開発予定がない地域に出店するのがポイントです。
なぜなら、出店エリアに大型の商業施設ができると、人の流れが大きく変わってしまうからです。
業種によって最適な店舗物件のタイプを選びましょう
新たに店舗を出店するときは人通りが多いことも大切ですが、それよりも客層のニーズや周辺環境などが重要です。
最も活気のある時間帯はいつなのか、どんな業種・業態が成功しているのかを見極め、最適な出店場所を決定しましょう。
ここまで、路面店・空中店舗・ロードサイド店舗・テナントのメリットやデメリット、出店のポイントを解説しました。最後に4種類の店舗物件タイプを比較した表を用意しましたので、確認してみましょう。
路面店 | 特徴:路面店とは、通りに面していて直接入れる店舗 メリット:視認性に優れ、顧客を集客しやすい デメリット:賃料などのコストが高い 出店のポイント:どの地域を選ぶかが重要 |
空中店舗 | 特徴:ビルなどの2階以上で営業する店舗 メリット:賃料設定が路面店と比較して低い デメリット:視認性が低いため、お客様に店があると気づかれにくい 出店のポイント:特定の業種にはデメリットがメリットになる |
ロードサイド店舗 | 特徴:幹線道路など通行量の多い道路に面していて、主に車やオートバイで来店する店舗 メリット:面積あたりのコストが低く、広い店内スペースを確保できる デメリット:賃料以外に駐車場維持費などの経費がかかる 出店のポイント:道路の利用者層と店舗のターゲットを合わせる |
テナント | 特徴:商業施設などに出店する店舗 メリット:商業施設の力を借りて集客できる デメリット:自由度が少なくなる 出店のポイント:新たに大型商業施設ができる予定がない地域に出店する |
出店コストを抑えるなら居抜き物件もおすすめ
本記事では、4種類の店舗物件の特徴を紹介しました。しかし、実際に出店するとなると、どのタイプの店舗物件にしていいのか迷うこともあると思います。計画を進めていくなかで、思った以上に初期コストやランニングコストがかかると気付くこともあるでしょう。
出店のコストを抑えるには、居抜き物件を活用するのもおすすめです。
居抜き物件とは、前テナントの事業者が内装や設備などをそのままにして退去した物件のことを言います。残されたものが使えるため、出店前の費用や期間などが抑えられるところが特徴です。
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