ご自身で経営されている店舗が赤字に陥った時、考えないといけないのは撤退をするのか立て直すのかの判断ですよね。今回は店舗の赤字の定義から撤退判断の基準までを紹介します。

「赤字」とはどういう状態か

 そもそも店舗にとって、「赤字」とはどのような状態なのでしょうか?
「赤字」とはある期間に利益(売上)を得るために、それより多くの経費(費用)を使ってしまった状態をいいます。

例えば、

・120万円で仕入れた商品を100万円で売った

などの状態を指します。
この場合、簡単に言えば「120万円使って、100万円を稼いだ」と言えます。このように、得られた利益を使った経費が上回ってしまっている状態を「赤字」と呼びます。
逆に、例えば

・100万円で仕入れた商品を120万円で売った

場合は、「100万円使って、120万円稼いだ」と言えます。「黒字」ですね。

 しかし、店舗の赤字・黒字は、取引ごとに計算したり直接の原価だけで計算したりするのではなく、ある程度の期間に得られた売上とそれを得るために使った費用を総合して計上しないと判断できないのです。
 例えば、

・100万円で仕入れた商品を120万円で売った

場合でも、その後の商品発送を30万円で行ってしまうとその分費用が増えて赤字になってしまいます。
また、

・120万円で仕入れた商品を100万円で売った

場合でも、そのあと倉庫に50万円分の商品が残っていれば、それを売る事ができた時全体では黒字になります。

 経理を使ってお金の流れを把握する大きな目的は会社などの状態を把握しやすくする事ですが、費用や売上の計算はたとえ個人事業主のものであってもとても複雑なので、現実に増減していく現金の流れを完全に整理して示す事はできません。
また、経理は時には現実の現金の流れから離れて資産の実態を把握する事にも使われるので、経理上の赤字/黒字と、実際の現金の赤字/黒字に違いが生じることがあります。

例えば事務所の家賃や従業員の給与などを意識せずに事業を行っていると、支払日に現金が足りなくなる可能性があります。例え長期的に見れば黒字になる予定であっても、大規模な仕入れを行うなどして実際に支払いに充てられる現金が減っていっている状態を
「お金の赤字」
といいます。

 逆に、実際の現金増減に関わらず、経理上の費用が売上を上回った場合は
「経理の赤字」
と言います。
経理の赤字に関しては、一般に会社の七割は赤字決算と言われており、中には税金などの関係でわざと経理上の赤字化を狙う会社もあるほど一般的なものなのです。

しかし、現金上の赤字に関しては注意が必要です。例え会計上は黒字であっても、実際に支払いに使える現金が減っていき、もし底を尽いてしまうと会社は倒産してしまうからです。

店舗の赤字に対する立て直しの対策とは?

 店舗が赤字に陥った場合、それがお金の赤字であるか経理の赤字であるかに関わらず、対策としては「売上を上げる」か「費用を下げる」かしかありません。会社に入ってくるお金の量を増やすか、会社から出ていくお金の量を減らす事で、会社からの現金の流出を止めることが出来ます。

 ただし経理処理上「売上を上げる」「費用を下げる」が出来ていても、会社で実際に出入りする現金には影響を与えない場合もあるので注意が必要です。例えば、家賃などの支払いのために月末に慌てて在庫を売り上げても、その決済手段を翌月払いにしてしまえば当月末の時点で実際に出し入れできる現金は増えません。

 一部の企業は経理上の現金と実際に使える現金の食い違いで現金が足りなくなる事がないように、キャッシュフロー計算書(C/F)を作成したり現金出納帳を作成したりして対策を行っています。
 しかし、店舗全体で構造的に経営が厳しくなってきている場合、経理上の赤字/黒字と現金の赤字/黒字を調整しても焼け石に水にしかなりません。長期的に業績改善が見込めない場合は撤退(退去)を視野に入れることになります。

店舗・テナントからの撤退、その判断基準

店舗が赤字!立て直しや対策は可能?撤退基準や退去費用の削減方法は?
 一店舗のみの個人事業主であれ、何十店舗も展開している大きな会社であれ、販売拠点(店舗)の維持にはたくさんの費用がかかります。家賃や水光熱費、人件費、本社費の負担に見合う売上が立っていない場合は、テナントからの撤退を検討する事になります。

 全社的に撤退判断の基準を設け、業績がそれを下回った店舗は機械的に撤退している会社もあります。
アパレルブランド『earth music & ecology』を運営するストライプインターナショナル代表取締役の石川 康晴さんは、日経ビジネスでの連載の中で新規事業の撤退基準について、

” 売り上げは好調ですが、実は、Maison de FLEURには、売り上げには関係なく、事業を撤退しなければならない目安があります。それは、当初設定していた資金が底をついたときです。アイスクリームショップのBLOCK natural ice creamの場合も、設定資金が決まっています。つまり、新規事業がスタートする時点で、明確な撤退ルールを設けているのです。”

と語っています。事業の関する撤退の基準を明確に設定している会社の一例と言えるでしょう。

 しかし一方で、同志社大学大学院ビジネス研究科の加登 豊教授はPRESIDENT ONLINE上での連載で、日本企業の特徴を「”撤退”を決められないこと」とし、分析しています。
連載でも語られる通り、事業撤退に関する基準をしっかり決めておられない事業者の方は多いのではないでしょうか。

とはいえ、特に小規模な事業体の場合では、撤退の判断を下すのは簡単な事ではありません。
個人経営の事業主の場合、「この基準を超えたら撤退をする」という具体的な基準が誰かから与えられているわけではないので、店舗を経営されている方は自分以外には判断が下せない状況で、業績の改善を試みるか、テナントから退去するかという、答えのない決断を下すことになります。
また、思い切って退去の判断をした際にも、テナントからの退去時には解約予告家賃や原状回復の工事費用、従業員の給料など、総額ではおおむね運転資金数か月分もの費用が必要になります。

出店の時とは違って退去の時に親身になって相談に乗ってくれる不動産業者やコンサルタントは少ないという現状もあり、ただでさえ経営の厳しさで負担のかかっていた経営者には、退去の判断をした後もたくさんの実務や負担がかかってしまいます。

赤字店舗退去費用の削減方法は?

 テナントからの退去の際、事業者に大きくのしかかる解約予告家賃や原状回復費用は、多くの場合自分自身の退去直後から入居できる後続テナントを見つけて来る事が出来れば回避が可能です。
しかし事業が小規模であったり、居抜きで入れる同業者が近くになかったりなどの理由で、泣く泣く多額の費用を支払っている方は少なくありません。

このような現状を打開する味方が株式会社アクトプロの提供する『退去ナビ』です。

退去ナビでは、600社以上の出店希望企業に対し、後続で入居してもらうための交渉を匿名で行う事が出来ます。
退去を検討しているテナントが物件情報の登録を行うと、一致する出店条件を設定していた企業に情報が提供され、退去企業後続テナントとして入居してもらうための直接のやり取りが可能となります。
もちろん退去に関する情報は秘匿性が高いため、実際に物件が特定できる詳細情報や企業情報の開示は行われず、これらの情報は退去側が承認して初めて公開されます。

 退去ナビの最大の特徴は、退去ナビ上でマッチングした後継テナントへの引継ぎが成約した場合は退去情報提供料としてテナント賃料の一か月分がキャッシュバックされる事です。これにより、多額の解約予告家賃、原状回復費用を回避した上、現金でのキャッシュバックまで受け取ることが出来ます。
 また、不慣れで不安な退去に際しては、後続テナント誘致による退去費用削減に熟知したアクトプロのコンサルタントによる家主との調整や、内装工事の手配まで受けることが出来、安心です。

赤字店舗、立て直しか退去か まとめ

 今回は店舗経営の上で直面するかもしれない赤字についてと、立て直しか撤退かの基準についてまとめました。簡単に赤字と言ってもその原因や構造は様々ですし、撤退の基準を決めるのも難しいことです。株式会社アクトプロの『退去ナビ』なら、原状回復費用・解約予告家賃を回避するための後続テナント誘致を匿名で確実に行うことができます。ぜひご利用ください